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[コメント] 恋人たち(1959/仏)

猪俣勝人「世界映画名作全史〈戦後編〉」を読んだもんで、Hな期待いっぱいで電波の弱いUHF放送のザラザラの画面に見入った中学時代のあの日・・・ああ恥かしい;
YO--CHAN

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







内容はおいといて; 本作で有名な「長い長いラブシーン」について少しだけ。

当時は「いよいよ今日放送だね」「うん」と自分も友人も大張切り、内容も概ね期待通りで、南仏の暖かい風が薄いドレスを吹き抜ける映像に目が釘付けでした。

ただ、子供としては少しだけ気になる点があったんです。

月に照らされたボートが音もなく湖面を滑る。あれだけ盛り上がっていたのに・・・なぜ二人はおずおずと立ち上がってひとまず館に向かうのか、当時の自分には少しガッカリでした。

「なぜ、ムードを断ち切ってまでわざわざ?」「そりゃあボートの上でやって転覆したら困るだろ、虫だって多いだろうし・・・」と友人は答えましたが、なんか自分には面白くなかったです。

やっと館につく、ジャンヌは、まず、水風呂に入って「こうすると涼しいの」と男に言います。小さくウンウンと頷く男が、本当に情けなく見えました。「どうでもいいだろ、そんな事」というのが見る方としての意見です、彼もそうだったのではないでしょうか?

やっと水風呂からあがると、ジャンヌは衣装箪笥を開けます。中には高級そうなネグリジェがいっぱい・・・「選んで!」

滅多に無いこのイベントを、最大限に演出しようという余裕というか貪欲さというか、冷静さが自分には興醒めでした。やはり子供でしたから。

やっとHな展開が再開。「幸せ」「貴方だけを待っていた」と熱い言葉が続きますが、前が前だけになんだか空虚に響きました。あの気まずいラストの昼飯シーンへの展開も、もしやこの時点で織り込み済みだったのかもしれません。

「もしかしたらさ、あのラストが監督の言いたい事だったのかもしれないね」と友人は言いましたが、自分は、もっと明るく伸びやかなものを期待していました。(例えばカトリーヌ・ドヌーブ主演『めざめ』の様な)

勿論、本作がこういう事だけが売りの作品ではない事は判ります。ただその一方、上記の様な明るい暢気なH作品に出会う事も、いまだに結構少ないもんです。だからどうといって大した意味はありませんが(笑)

(評価:★4)

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