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[コメント] ゴダールの決別(1993/スイス=仏)

純粋にキリスト教的な作品。「我々は待ち望まれてこの地上にやって来た」「願いは叶いました」。吃音者、障碍者を取り上げるのがゴダールの成熟を示して美しい。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







男女の愛をクライマックスに語る抱擁のショットは美しい。しかし、宗教ではそれが一番じゃないだろうという気もする。そこでこう語られるのだった「私たちが欲している真実は諸々の様相を呈するけれど伝達はできないわ」「実在する私ではなく私の内にある世界を愛して」。

レマン湖の光は美しく爽やかな風が吹いており、徐々に湿度を帯びて行く。私的ベストショットは扉から差し込む光の影絵の絶望の身振り。ラストほかギャグも好調で小気味いい。

本作は別に難解ではない。知らない引用は魅力的なものばかりで調べたいと思わせられる。聖書ぐらい読まないと判るものも判らんだろう。意味が判らないのは邦題。本作の肯定の意図に叛いて最悪だろう(英題はAlas for Me)。

(評価:★4)

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