[コメント] 男の顔は履歴書(1966/日)
当時の言葉でいう「三国人」と日本人との抗争に、医師である安藤昇が巻き込まれ、彼自身が恐るべき混沌を引き起す過程が描かれる。
今見ると、とても多彩な役者を配した群像劇で、そういう意味での興味も尽きない。役者については、下で「#備忘」にまとめて記そう。
加藤泰らしい画面造形について云えば、中盤からローアングルが増えてくる。人物の股抜きショットなどもあるが、水面下や地面下にカメラを置くような無理やりな構図はない。刑務所に中原早苗が面会に来るシーン。中原が面会部屋から立ち去る場面で、体と頭を反転させる所作のカットを繰り返す。この繋ぎはとてもキャッチーな面白い繋ぎだ。
回想シーンの最後の大乱闘もそうだし、前半から、ケンカのシーン含めて全般的に殺陣がカッコよくない。わざとかも知れない。
#備忘
・安藤の現在は、もうすぐ島の診療所へ行くことになる医者。看護婦は香山美子。香山はクレジットでは「特別出演」と注意書きされている。
・「三国人」側、ボスは劉成元・内田良平。眉毛を落としたメイク。新入りだが客人待遇の崔・中谷一郎。血気盛んな若き菅原文太が目立つ役、その他、富田仲次郎、高宮敬二、殆どまともに顔が映らない若き藤岡弘。朝鮮バーの女給で真理明美。この女優がなかなか雰囲気ある。
・日本人側は、散髪屋の田中春男、その娘に藤田弓子。彼女はなかなかファイトあふれる演技を見せる。他に柳沢真一、浜田寅彦。飲み屋の女将で角梨枝子。夜の女達の中に沢淑子と石井トミコ。ヤクザの親分は嵐寛寿郎。
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