[コメント] ルパン三世 カリオストロの城(1979/日)
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「こんなの,本当のルパンじゃない」と言う人が多いし,実際そうだと思う。例えば,この話では,ルパンはワルサーで一人も傷つけていない(たしか,クライマックスの時計塔の場面でも,ジャケットのポケットに引っ掛けて,一発も撃たずに落としてしまったし)。
しかし,コメントに書いたこの会話(城から逃げ出したクラリスと追っ手のカーチェイスに遭遇した際の次元とルパンの会話)を見れば,「どんな時でも美女につく」「行動様式を決める理由は,いい女」というルパンらしさも少しは残っている。ここでのルパンは,まさにルパンに他ならないと思う(その後のクラリスへの態度にセクシーさやいやらしさが微塵も感じられないところが大違いなのだが・・・。もっとも,自分が旅先で偶然知り合った方が,老若男女を問わず必ず善人である『水戸黄門』とは,大違いだが・・・あっ,違うか?)。
たしかに,原作やテレビアニメ(特にいちばん最初の)のファンにとっては,登場人物のキャラクターが違いすぎてなじめないかもしれないけど,これはこれでいいんじゃないかと思う。実際,私も初期のテレビシリーズのファンだったし,最初観たときはこの作品のルパンに違和感も感じたが,観ているうちにすぐ慣れてしまった。
何だかんだ言っても,夢とロマンあふれるストーリー,テンポの良い展開,アニメならではの描写,時折出てくるギャグ…と,この作品は何もかも最高だと思う。唯一残念なのは,登場人物のキャラクター設定への違和感と,五右衛門の見せ場が殆どないことくらいではないか?
それから,ラストの銭形の「それは,あなたの心です」というセリフは,ちょっとクサすぎて・・・。これは,宮崎監督の女性観・価値観を象徴しているように思える。そして,このセリフ(が象徴している世界観)を許せるかどうかも,この作品に対する評価を分ける大きなポイントだと思う。
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