[コメント] レイダース 失われた聖櫃〈アーク〉(1981/米)
本国アメリカでは公開されるやいなや興行収入の記録を塗り替える大ヒットとなった本作。日本でも当然『ジョーズ』(日本での興行収入50億)や『未知との遭遇』(同32億)の記録を破るだろうと鳴り物入りで公開されたのだった。しかし結果はわずか13億の収入にとどまり(それでも年間6位ではあったが…)『1941』(同8億)に続く惨敗。思うに今ほどは情報も流通していなかったあの時代、本作のこの面白さを伝えるのはやはり難しかったということだろう。
まず主役のキャラクターからしてそうだ。日本であの当時絶大なる人気を誇っていたのがジャッキー・チェンや『スーパーマン』だった時代に、いくら『スター・ウォーズ』のハン・ソロ役ハリソン・フォードが演じているとはいえ、全く何の予備知識もない人が「主役はどんな人?」と聞いてその答えが「う〜ん、考古学者…」では…。確かにあまり観る気はしないという人も多かったのかもしれない。
また当時はスピルバーグ自身もまだ『ポルターガイスト』や『グレムリン』などの製作総指揮に関わる前でもあり、もちろん有名だったし人気もあったが、立場としては1監督にすぎなかった。当然スピルバーグ印なんて言葉すらなかった。むしろ『1941』の汚名を晴らそうと本作で起死回生を狙う1監督。まだまだそういう時代だったのだ。
だからいくらアメリカでヒットしたとはいえ、初めてスクリーンで観たときは妙に緊張したのを覚えている。「冒険活劇とはいえ地味〜な映画だったらやだなぁ」。確かにそんな気持ちだった。
観てしまえば「そんなものはいらぬ心配だった」とホッとする以前にそんなこと考える余裕がないほど興奮したものだが、自分が高校生だったあの頃を思い返して書いてみました。
けれど四半世紀が経った今もこの作品に輝きが失われていないことは素直に嬉しく思います。冒頭の●●●●●●の●●●にそっくりな●を初めとするスピルバーグの確信犯としてのネタ探しも楽しい作品なので、まだまだ何度でも観て楽しみたい作品でもあります。
しかし、ジョージ・ルーカス、フランク・マーシャル、ローレンス・カスダン、フィリップ・カウフマン、ジョン・ウィリアムズ…という製作陣の豪華さは、80年代に彼らの映画を観て育った者には「これだけの面子が揃っていて面白くなかったら嘘だよな」と思うほどのものであります。それにひきかえハリソン・フォード以外の役者の地味なこと…。そのあたりも最初日本ではコケた要因のひとつなんでしょうね。
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