[コメント] 松川事件(1961/日)
この気迫の前に理屈は色あせてしまう。何の説明も要らないだろう。ただ見るべし。
恥ずかしながら事件のことは「松川事件」という名前とDVDのジャケットにあるとおり「戦後最大の冤罪事件」としか知らなかった。そんな一観客にも、淡々と事実を追った語り口や裁判中の回想シーン・再現シーンの多用により、吸引力を終始保ったまま、この事件に対する理解をもたせてくれた。それがこの映画の「スゴイ」点ではないだろうか。
判決が出ない前に映画を撮ろうと思った監督も監督なら、制作会社も制作会社だ。常識からすればそういわれても仕方がないのかもしれない。しかし、戦争中に反戦映画を作ることにもたとえられる断固とした主張がそこからも感じ取られる。なるほど、社会派の映画とはこういうものをいうのかと頷くしかないのである。
また登場人物が、警察から検察から裁判官から、被告その家族にいたるまで有名無名を問わず大変な熱演である。これも、吸引力のひとつの表れであろう。
現代で同じジャンルの映画を探してみよう、と思わせてくれたが、果たして予想外の拾いものをするかはたまた落胆するのか、いや現代にあの熱を求めるのは刻なのだろうか。
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