[コメント] レインマン(1988/米)
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冒頭ランボルギーニカウンタックの荷揚げシーンは覚えていなかった。あれ、この映画初めてなんじゃないか、と思う。レイモンド登場の病院シーンから記憶にあった。それまでにチャーリー(トムクルーズ)の仕事(外車のインチキディーラー)、彼女との関係、父親の死、など主要なエピソードが出てくる。
つまりはこれは、チャーリーの心の変化を見せる映画で、自閉症レイモンドはその舞台装置にすぎない。チャ−リーは恋人に「あなたは全部利用している!」とののしられるが、この映画も「自閉症」を利用している、と言えなくもない。
チャーリーが思い出せない母親の唄った歌をレイモンドが歌う。チャーリーが子供時代を思い出し、レイモンドを兄と認める感動シーン。その歌がビートルズの I saw her standing there.この選曲も微妙でいい。初恋の女の子を見て高揚する気分が良く現れている曲だ。私はこの曲がビートルズの曲(だから私が好きだった)ということだけに注目していた。このシーンが、母を幼少にして亡くし父親に愛されずに(と思って)育った、「他人を利用することしか知らない」守銭奴のチャーリーの心が変わっていく始めてのきっかけになるシーンだ、ということがわからなかった。わからなかったが、曲の力(と個人的な思い込みで)で感動だけはしていた。
ラスト近くチャーリーは資産管財人が提案する2万5千ドルの小切手を投げ捨て「金はいらない」、兄と保護権をよこせ、と言うまでになる。恋人ともヨリが戻って、見ているこちらもやれやれよかったな、と思う。
「一塁手は誰だ?」のギャグの選び方。レイモンド→レインマン→メインマン、の微妙な韻の踏み方、そういう細かなところに神経を使っている作品だった、と改めて気づいた。
前回この映画を見た時、私は身近にそういう人がいたこともあってダスティンホフマンの力作な演技(と言ってみたい)だけを受け取っていて、トムクルーズの心の成長物語を見る余裕がなかった。今回見直して、自閉症のエピソードは印象薄く、トムクルーズの名演技、チャーリーの心の成長に感銘を受けた。私の心も少しは成長したと思った。
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