[コメント] Shall we ダンス?(1995/日)
場末でマイナー感満載ながらも気品を失っていない、あのダンス教室の在り様が作品全体に好ましい空気を通底させる。それを体現しているのがたま子先生(草村礼子)であり、彼女の穏やかな語り口を通じて物語は転がってゆく。
草刈民代はアイコンでしかないが、それでも圧巻の存在感。役所広司も如何にもな甲斐性の無い日本の「夫」の在り方を演じている。
社交ダンスという陽の当らない世界をトリビア的に楽しむことができ、そこに定番の「挑戦」の物語が重ねられてゆく。さらに、夫婦のプチ危機と回復の物語も絡んでいくが、この部分はやや都合が良すぎて甘い感じ。せめて原日出子と草刈が対峙するシーンの一つでもあったほうが締まりが出たのではないか。
以下蛇足。一通りのものを手に入れた中産階級サラリーマンの自分探しなどという、このようなヌルい話が成立したのも90年代までだろう。こんなお気楽な話、”ゼロ年代”以降には最早通用せず、『それでもボクはやってない』へと繋がる。
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