コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] 鬼の棲む館(1969/日)

男女4人に秘められた「業」を76分という短尺でまとめる荒技、鑑賞後にそれぞれをメインにした物語を構築し直してみると実に深い。上映時間に倍する程の映画的楽しさが味わえる。そして撮影の力、色の力はまさに大映映画です。
sawa:38

太郎が悪行を働きに山を駆け下りるシーンは、他のコメンテーターの方もご指摘のように猛スピードの移動撮影でその迫力たるは凄まじい。勝新太郎がどんな心境で山を駆け下りているのかという切迫さが否応無く伝わってきた。

ただ私はそのシーンに続く追いはぎ・米の奪い合い・殺し合いが好きだ。辺り一面に黒煙を炊き、セットに金をかけずに安上がりにしたかっただけなのかも知れないが、白昼にも関わらず黒く覆われた空と台詞もなく無言で行われる惨劇の迫力も凄かった。

そしてコレは大映のビスタビジョンなのだろうか(?)、私には緑と黒が色濃く大変綺麗に感じられた。

原作の谷崎潤一郎、脚本の新藤兼人の力が大きかったのは当然として、演じる役者陣4人の「太い」芝居、そして宮川一夫の撮影の力。これら総合力としての一本の映画作品。こうみると実に充実した佳作である。個人的には大変満足できる映画となりました。

(評価:★5)

投票

このコメントを気に入った人達 (1 人)寒山拾得[*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。