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[コメント] 黄色い風土(1961/日)

大慌てのダイジェスト版推理劇で途中で筋を追う気が失せたのだが、スタッフ・キャストが旧軍嫌いなことだけはたいへんよく判るところで、元祖『野良猫ロック』なトンデモ収束が素晴らしかった。鶴田浩二の造形は後年の「男たちの旅路」を想起させるいい味がある。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
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鶴田のよたったような冴えない造形がとてもいい。ニュー東映らしい意欲的な配役なんだろう。週刊誌記者で、年下のやり手デスク丹波哲郎に仕え、サファリハット被って転々と取材旅行、東京発熱海行の新婚旅行列車に乗りあわせて羨み(国鉄には「ことぶき列車」という臨時列車があったそうだが、これは貸し切りでないのだから違うのだろう)、行きつけのバーでマダム利根はる恵(とても素敵)に絡む日々。取材で見せる自嘲、酔っ払ってネクタイ緩める仕草に流石のいい味がある。子供の頃よく観ていた「男たちの旅路」を想起させられた。彼らしく厭戦を引き寄せる作劇は、あの老警備員と同じであった。

物語は虚実入り混ぜた清張の摘発をバッサリ切っているのだろう。出てきた人間は端から死に続けるし、兼務ナレーター鶴田の推理はそのまま事実認定されるし、柳永二郎のエロ教授も蝶ネクタイの神田隆も何のコクもない。ただ陸軍第九研究所と呼ばれる登戸研究所の悪事(※)が敷衍され、偽ドル、偽五千円札づくりに勤しむ面々が浮上する。旧軍の隊員が自衛隊の富士山麓演習の大砲受けて死んじゃう春日俊二(その場に鶴田放置して殺そうとして逆に爆死)という皮肉な結末は清張らしい。

遺体にカトレア置き続ける佐久間良子は犯人の一味ではなく、兄の春日の犯行の被害者を追悼して回っているのだと終盤に何となく判明するのだが、この兄妹の関係の描写などまるでないため心に全然沁みないし、お忍び行動なのに何で『上海特急』のデートリッヒみたいな怪鳥の帽子被っているのか訳判らんし(客席から狂笑があがっていた)、鶴田への恋慕も訳判らん。「紫陽花をお調べになれば大佐のことが判ります」という彼女の謎々を鶴田が一瞬で「それはアジサイ工作だ」と解いてしまう時間エコノミーにも眩暈がするし、そのように訳判らんまま、クライマックスの大砲降り注ぐ冨士演習場に着飾って突入してくる佐久間は凄すぎる。この画は強度だけは抜群、彼女は元祖梶芽衣子だったのだろうか。助監督は鷹森。

※「中国の経済を乱すため、当時として40億円もの中国向けの偽札がこの研究所で作られ、30億円もの偽札が中国で使用された「杉作戦」が有名である」戦後も「GHQに協力し、横須賀基地内の米軍印刷補給所で、偽造印刷の技術を使い、共産圏の各種公文書の偽造を行った」(Wiki)。

(評価:★3)

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