[コメント] 桃尻娘 ピンク・ヒップ・ガール(1979/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
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親友亜湖が失踪し竹田かほりが追う雪の安曇野、金沢、京都のアンノン族コース。実際に竹田は観光雑誌を手に丸め持っている。冒頭、亜湖の逃亡は撮られず、竹田があずさ2号に乗り込む件から始まるので、失踪したのは竹田なのか、探しに行く竹田と二役なのかと疑わされてややこしい。たぶん意図的な演出の冗談なのだろうけど。これはゲームなんだからこれっきりと竹田の処女奪う小山君という大学生は「国産車じゃ恥ずかしくて学校に行けない」と外車乗り回しているが、左ハンドルの日産コロナにしか見えない。
以下うだうだしたコメディが続くのだが、白眉は竹田が片桐夕子と内田裕也の夫婦と相席になる件。ムショ帰りの裕也は何も喋らずセックスだけする素敵な造形で、不倫相手の男刺してまたムショへ戻る。赤いニット帽かぶった可愛い片桐は、列車の便所へ無言で去る裕也を見て赤ん坊を出会ったばかりの竹田に預け、いそいそと便所へ入って励むのであった。後は片桐の娼婦稼業手伝う竹田と亜湖という展開。ここは70年代をミスマッチに引き摺っていてアンノン映画と落差があって良かった。
もうひとつ目を引くのは、木川田君高橋淳と先輩滝上君野上祐二のホモカップルで、映画は70年代のように気持ち悪いと笑い飛ばさず、竹田が「ホモじゃない男はイモ」と云って付き合う件で、むしろ個性のある人のほうが魅力的とされている。本邦LGBT映画史上特筆事項かも知れず、橋本治の偉さだろう。竹田と同衾した野上君は腰一回動かして果てるのだった。
その他は、満員のあずさ2号には狩人のファンの女子で満席という懐かしくも賞味期限切れのギャグとか、五木寛之の通ったクラシック喫茶のボーイが原作者とか、うだうだしたコメディはまあ竹田が可愛いからいいかというノリ。パーマかけて高校生には見えず、女の操について悩める役処が楽屋落ちの冗談にみえて芳しくなかった。期待された企画なのだろう、ロマンポルノにしては90分の長尺。ピンク・ヒップ・ガールズというのが即興で作ったような主題歌唄っている。
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