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[コメント] ジキル博士とハイド氏(1931/米)

タイルクレジット後、オルガンを弾くジキル=フレドリック・マーチの主観ショットが続く。執事のプール=エドガー・ノートンの登場と会話があり、フロアを移動して、壁掛けの鏡にマーチが映る部分は鏡に見せかけた額縁画面か。
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 さらに、表に出て、馬車に乗り、階段教室での講演場面に入るまで、主観ショットが続くという凝ったオープニングを持つ。屋内セットは、天上の高いサイレントっぽさの残るものだが、ジキルの自宅の実験室は、見事な装置だ。ジェームズ・ホエールの『フランケンシュタイン』の影響もうかがえるが、大きな窓が効果を発揮する。また、ハイドへの変身シーンの特殊効果は今見ても、とても上手く出来ている。

 ジキルの恋人は上流家庭の娘であるローズ・ホバートだが、街の女、ミリアム・ホプキンスに出会い、ハイドに変身するようになってから、ハイドはホプキンスに執着する。ハイドになると、粗野で凶暴になるだけでなく、なぜか筋力的にもパワーアップする。しかし、ハイドとホプキンスの関係が、酷いハラスメントでもって描かれており、見ていて辛くなるほどだ。だが、この徹底ぶりこそ映画として尊いと思うのだ。また、ハイドを突き動かす情動は、色欲(性欲)だけである、という潔い描き方も同じく尊いと思う。ヘイズコード後(1934年〜)であれば、まったく違った描写になっていただろう。

(評価:★3)

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