[コメント] 小さな中国のお針子(2002/仏=中国)
当時の世相を絡めて青春の一片を描いてはいるのだが、画面からは、都会育ちの青年二人が田舎に行って様々な体験をする「ウルルン滞在記」のようにしか見えないのが悲しい。ありのままの山奥の山村のロケーションは、それなりに目を見張るが…。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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ベストセラーになったと言う原作は未読だが、そちらには、もう少し描きたい主題の部分が綴られていたのでは?。本作を見る限り、テーマに一貫した核が見当たりません。下手をすると素人の青春旅日記回想ムービーのよう。当時の時代に翻弄される様や、青年たちの熱い思想や、三角関係などを巧妙に絡めた脚本だと思っていたのに、すべてにおいて描写が浅く、淡い青春日記止まり。特にドラマチックにも描けたはずの主人公たち3人の関係が、あっ!という間に二人が結ばれており、一人は見守る形になっているので、そこへ至る繊細な描写を勝手に期待していると肩透かしを喰らう。全編を通じても起伏がなく平板な印象。一歩も深い部分に踏み込んでいる部分が見当たらず、どうも表面的な雰囲気だけで撮りあげ編集してしまった感じ。記憶に残る印象深いシーンはリィウ・イェがジョウ・シュンの為に医者に頼みに行く際に、彼の涙に感銘を受ける医師の描写くらい。中国の山奥とのカルチャーギャップを見たい人は楽しめる。文学的な何かやアーティスティックな創られた映像美や深い主題などを期待して観ると違うかも。
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