[コメント] あばよダチ公(1974/日)
佐藤蛾次郎の発情描写の数々が激しすぎて弱ってしまう。「自由にヤレるのか」「貴方は自由をはき違えています」「ネエチャン何も穿いていないのか」何という対話だろう。腰振り続ける蛾次郎に雄の哀れを見よ(含『男はつらいよ望郷篇』のネタバレ)。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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浦安駅周辺の詳細が残されているのがまず美点。区画整理中の埋立地も川船並んだ川も見える。ここで佐藤蛾次郎が登場するのは、明らかにヒット作『望郷篇』(70)で寅が長山藍子の元に残してきたからに違いない。
映画はクライマックスに浅間山荘事件をパロって素晴らしいが、ここではぜひ鉄球を調達してほしかった。小屋を潰す石材が円筒形では隠喩として弱いのである。札束を喰って隠しているが、どうやって腹から取り出すのだろう。
優作映画初主演作。脂下がってストリップ見上げるただのチンピラなのだが、自分のためにだけ働く鼠小僧タイプの義人、という彼の類型がすでに完成している。他に誰とも別れていないから、「あばよ」は加藤小夜子との別れを指すのだろう。会ったその日に友達の三々九度で結婚、という奇怪なノリは理解不能だった。蛾次郎を苦しめる段取りなのだろうか。
山本麟一の右翼親父は柔らかく扱われ、新左翼の信用失墜とともに反動化する世の中をすでに表しているように見える。ロケ地の天竜川は水力発電地帯。ダムの水没予定地にバリケード張る詐欺を「ダム屋」と呼んでいる。拳銃ぶっぱなす砂塚秀夫と榎木兵衛の警官が渋い。
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