[コメント] 連合艦隊司令長官 山本五十六(1968/日)
落ち着いた思慮深いリーダーとして主人公が描かれる。軍事と政治(外交)の連携を心底に秘めた奇襲戦略が潰え、その後どんな努力も水泡に帰してしまう1年4か月が描かれ見事。円谷英二による連隊飛行のリアルさも素晴らしい。ただし、⇒
戦争を素材にしながらも、本作品の狙いは、一人物の思いとその失意、それにくじけない志を描き感動を与えることだ。戦争を主題とする作品とは当然違う。
三船敏郎が演じると、この立場の責任の大きさと重さがにじみ出る。眉根のしわがこの山本五十六のキーかと思う。後の作品で役所広司演じる山本長官においては微笑みがキーだった。平常心を保ち続ける耐性と余裕がうかがえる。ゆえに二人は風合いが違う。風合いの違いが、ただちに、優劣議論にならないところが演技という世界の奥行きの深さ、幅の広大さだろう。さらには、山本五十六という人物のスケールだろう。
昔、新潟県長岡市に住んでいたことがあって、長興寺の山本五十六の墓を訪ねたことがある。東京の墓に参ったことはないが、写真で見る限りまるで裃を着たような墓だった。ここの墓は実家に帰ってくつろぐ浴衣姿の山本五十六さんを見るようだった。
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