[コメント] キートンのセブンチャンス(1925/米)
神業動画であり物語世界の悪夢的構造が巧さとして達しているGOODコメディ
長編キートンに足りなかった物語枠を活かすという仕事の達成が作品の完成度を決定づけた作品である。導入部からして映画の修辞を見せつけ、着地においてその答弁の確かさをアピールした巧みな施しであった。さらにはキャラクターの造形も明晰で、大局的な視点において映画を操作するという映画偏差値をぐっと高みに押し上げる仕事であった。さらには、神がかった落石との格闘、それ以前の大量花嫁とのチェイスシーンなど、面白いを優に超えて「凄い」の一言を飲み込んで注視させる剛腕は見事である。本作を見るにつけ、キートンが映画の構成に気を使っていることがよくわかる。ひじょうに流麗なテリングテクニックをものにして、作家としての腕を磨いた作品となった。たしかにまとまりがよい分のナンセンスの強度が希釈している点を見る向きもあるが、長編ともなればこれ位のさじ加減が妥当な線だろう。作家=俳優の映画としてはひじょうに高度な作品であった。
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