コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] 子連れ狼 冥府魔道(1973/日)

演出如水<エンシュツスルコト・ミズノゴトク>
町田

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







三作目は演技演出で魅せるが本五作目は脚本の巧緻さと画面構成で魅せる。

舞台となった筑前黒田藩の祖が、羽柴”筑前守”こと関白秀吉の名参謀・黒田勘兵衛孝高であること、そしてその隠居号が「如水」であること、こんなことは歴史ファンの間では常識中の常識だが、この映画はそれに因んでか、もう最初から最期まで水・水・水のオンパレードである。

刺客依頼料を五分している黒田の隠密剣士たちは、何れも滝・水車・火・湖・毒水と「水」を強く連想させる死に様をしているし、安田道代演じるくノ一不知火が天井から垂らすのも水。大滝秀治を襲うのも水面下からだし、川原での集団戦闘もあるし、ラストシーンも海だ。本当に徹底していて、しかも映像的魅力に充ち溢れている。

佐藤友美の女スリのエピソードも泣けたなぁ。ベタな割りに。東映の潮健児が相棒を勤めてるのが良かったな。

さて。

この映画の、唯一の欠点を挙げるとすれば、それは黒田の若姫に「斬れ」と言わせたことだ。後に一刀に惨殺されることになる幼い彼女を少しでも悪のサイドに近付けることで、一刀の行為に正当化させようとの魂胆だろうが、これは要らざる気遣いであった。

(評価:★5)

投票

このコメントを気に入った人達 (0 人)投票はまだありません

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。