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[コメント] 花と竜(1962/日)

何度も映画化された『花と竜』、本作は山下耕作、マキノ、加藤泰版より早い製作で、裕次郎ルリ子コンビらしく爽やか系だったのに終盤脱線して驚かされる。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







明治36年の北九州、沖仲仕、入れ墨の上半身裸で晒巻いてねじり鉢巻き、あれは石炭なのか、笊で木造船から荷揚げのバケツリレー。隣の船と競争させている。ブラジルまでの船賃稼ぐ裕次郎。賽子壺振りの岩崎加根子がブラジルについて「見ると聞くとは大違いと云うよ」。しかし裕次郎は最後までブラジル行きを狙っていたのであった。

連合組対共同組の対立。味方の連合組のボス大坂志郎は相手方を「川船頭あがりのならず者」と評している。やくざではない、売られても喧嘩買わない裕次郎。損を承知で値下げ競争の相手方。いやいやながら盃交わす。「従来、馬賊と海賊との修羅場の感のあった石炭荷役に秩序を」齎さんと小頭組合作り、芦田伸介のやくざに許して貰ったりしている。

しかしクライマックスは神社の前の果たし合い。敵役の乱暴者に井上昭文。紫の番傘から白羽取りで血まみれの裕次郎、菊の花散り、病床の窓から飛び降り。それでも死なずに気持ちよく元旦の日の出仰ぐラストは詰め込み過ぎで錯乱している。

刺青師兼務の岩崎は中盤に刺青彫ってよろめいている。浅丘の処に押しかける元恋人に近藤宏高橋とよがお笑い方面で活躍。裕次郎は駆け出しの頃、流行った「上海コレラ」の救出で男を上げている。日露戦争の記録映画を観てきたという会話がされている。組のロゴマークがラッキーストライクに似ており、これは他作も踏襲される。

(評価:★3)

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