[コメント] 日本海大海戦 海ゆかば(1983/日)
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物語はありがちな話が多いが、日露戦争もので水兵に密着した作劇は珍しく、これが美点かも知れない。三船の東郷は全然記憶に残らない。軍楽隊員沖田浩之ほか呉海兵団着任、日本海海戦へ三笠に搭乗、砲兵も兼務になり、という物語。
三笠の大砲の扱いなどリアルに再現されており、窓から潮が吹きこむ描写がいい。その他も甲板でのいろんな作業から風呂の入り方まで細かくて力入っている。そして戦闘中の血まみれ連発描写になり、これが80年代以降らしい処だが、これが厭戦描写かどうか微妙に見える。これが男だと感動する向きにもウケそうなのだ。最後は三笠の艦内は崩壊状態で、字幕で戦勝が告げられるのが不思議に見える。何が云いたい作品なのかよく判らないままに終わる。
開戦当日、上官は「国民が高か税金払ろて我々を信頼してきてくれたのも今日ちゅう日のあるがためである」と挨拶している。金銭貸借でもって戦意を掻き立てるのは本邦らしいが、映画は全体にこれを否定しているようだ。内職で高利貸していた佐藤浩市は最後に止めてしまう(彼はつまらない役で、死んだら俺の代わりにと序盤から遺言残す空々しい布石を最期まで続けるのだった)。『伊豆の踊子』の見送りまでする『モロッコ』デートリッヒ状態の三原も、沖田が渡そうとする関係精算のカネを再三受け取り拒否する。借金を物事の動機にしてはいけないという思想が仄見えた。この含みはいいものかも知れないが、徹底されなかった。
遊廓で同僚伊藤敏孝が自殺する。残念ながら意味が唐突でよく判らないが、日露の頃から兵隊間のいじめがあったのだろうか。そしてこの葬送にあたってショパン「別れの曲」など演奏したのだろうか。その他もえらいポピュラーな曲が流れ続けている。明治の人たちが日本の古里の風景を回想するのにドヴォルザークの「家路」が相応しいとは思われない。そして相変わらずのパチンコマーチには笑わされる。
収束の沖田の吹くラッパは音と指が合っておらず、こんな編集では役者が可哀想である。佐世保の歓楽街で年寄りの立ちん坊、という件がある。私は80年代後半に佐世保に行ったとき、老女の立ちんぼうを見かけたものだった。平幹二郎の天皇がえらいミニマム。下宿屋夫婦は谷村昌彦と石井富子。
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