[コメント] 東京の暴れん坊(1960/日)
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冒頭の体育館でのレスリングとフェンシングの並列がホークス風、ジャック・タチ風でシュールでバカバカしく(この切り口は後半の芦ノ湖のキャンプで回想される)、小川虎之助が貶したカーラジオを怒鳴るとラジオが謝るネタが笑えるし、中原早苗の風呂屋での殴り合いは本気としか思えず、バスタオル落として逆回転、小川のクルマが突っ込んで崩壊したフランス料理店で茶漬け喰い続ける旭も素晴らしい。小川は薙刀構えて海で蛸を獲るが、『三等重役』でもギャグで海に飛び込んでいる。自己パロディだろう。
ただ、ギャグは先細りし、藤村、小沢と十朱が中原獲り合う件などイマイチだろう。押し出しの弱い近藤宏のは喜劇向けではなく、起用は失敗していると思うし、後半はアクション中心になりチンピラとの喧嘩ばかりで、ラストの花嫁差替もイマイチ理に落ちて面白くなくなった。ただこの後半、「女の敵」をやっつけるという倫理が全ての行動原理を律している様は筋が通っている。
三島雅夫たち悪党が銀座の風呂屋を「トルコ風呂」にするために跡取りの浅丘ルリ子との結婚を企むという物語。銀座には現在でも銭湯が何軒もある(国立映画アーカイブの傍にもある)が、本作で見えるような立派な煙突はない。本作の銭湯は松の湯。赤坂の銭湯もロケされている由。
「キッチンジロー」は実在するが創業は64年で本作より遅く、一号店は神保町で銀座ではない。本作を当て込んだのかも知れない。旭の鮮やかなスーツ姿と銀座の組合せはみゆき族流行の予告編に見える。助監督は神代。
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