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[コメント] わが愛(1960/日)

どれも退屈な『白い牙』『猟銃』と続く井上靖三部作の第一作は、妾を手玉に取った小説家の酒場での打ち明け噺系。なんでこんな作家がノーベル賞候補だったんだろうカッパブックスレベルではないか。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
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原作は短篇「通夜の客」。有楽町のガード下で酔って倒れて死んだ佐分利信の通夜に妾の有馬稲子が現れて周囲卒倒から始まりふたりの関係の回想。柳橋の芸者の乙羽信子の処に通っていた小説家の佐分利は、姪の有馬とある晩二人きりになり「大きくなったら浮気をしようね」と囁いて、有馬は本気にして十数年。ひな鳥への擦り込みだろうか。

佐分利が軍隊に行っている間に乙羽は別の男に乗り替え。またしても偶然二人きりになり同衾、「このまま死んでもいいわ」。戦後、佐分利の高原の別宅に押しかけて住みつく。村の連中は疎んじるが、佐分利が荒れた墓石直したので認められるのが嘘臭い。ときどき現れては小説書く佐分利。帰省に際して山道でトウセンボする有馬の哀しい可愛らしさが際立つ。弄ぶ小説家という主題は川端康成の二の線。浮気の愛はこのように語られた時代なのだった。彼を滑稽に殺してしまう冒頭でバランスを取っているとも取れる。撮影美術は上等。カラーワイド。

(評価:★2)

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