[コメント] 昇天峠(1951/メキシコ)
映画を見終った人むけのレビューです。
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まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
ルイス・ブニュエルと書いて「ふざけた爺さん」と読むこの監督が好きなんですが、「お前、この映画も観てないで、どの口がブニュエル好きなんて言ってるんだ?」の代表格、課題映画がこの作品。初鑑賞なんです、ごめんなさい。K's cinemaの「奇想天外映画祭2022」に感謝。
以前も書きましたが、「ブニュエルのメキシコ時代は暗黒時代」と長いこと思われていたんですね。四方田犬彦曰く日本における「ブニュエル元年」は1984年だそうで、83年にブニュエル翁が死去して翌84年にぴあが特集上映するまで、日本ではメキシコ時代のブニュエル作品は紹介されていなかったそうです。欧米でもメキシコ時代の作品は紹介が遅れたそうですから、この映画をリアルタイムで観たのはメキシコ人だけだと思うんです。
つまりこの映画、多くの(ほとんどの)人が「ブニュエルだから」と思って観ているので、無駄に過大評価されている気がします。例えば今回私が観た「奇想天外映画祭」。先程感謝を口にしておいて舌の根も乾かないうちにナンですけど、この映画、言うほど奇想天外かなあ?たしかに、変な妄想シーンはあるけどさ。
私は、大衆娯楽作品だと思うのです。歌ったり、セクシー美女が出てきたり、ドタバタコメディがあったり。ところが、私も「後に」観ているので「ブニュエルだから」視点で観てしまっています。
ブニュエルって、意外と政治的なんですよ。この映画でも、選挙ウンヌンのクダリが出てきます。
そう考えるとこの映画は、 「陽気なメキシコの太陽の下で明るく楽しく能天気に暮らしてるのもいいけど、もっと子供の未来、この国の未来を考えろよ」 と言っているような気がするのです。
(2022.09.19 新宿K's cinemaにて鑑賞)
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