[コメント] イン・ディス・ワールド(2002/英)
密入国の対象となる国(日本もそうだ)には計り知れない「希望」が満ちているのだろうか?
密入国の対象となる国(日本もそうだ)には計り知れない「希望」が満ちているのだろう。赤い大地や凍てつく凍土や荒海の先にそれらの国がある。それらを知らずにそこに安住する私。
どこまでも続く赤い大地の恐怖よ。異民族の町を異邦人として歩く恐怖よ。
そんな経験も知識も無い私は本作で「世界」を知った気になる。
本作の意図からはかなりズレた感想だが、そんな憧れの目的地に住む私たちは自身が幸運だったと安堵し、ちょっとばかり誇りにさえ思う。
しかし、逆にこの国から逃れる先も無いのだ。四方を海に囲まれ、広大な太平洋に前途を阻まれる。機械のように働かせられ、競走馬のように競争させられ、順位をつけられていく社会。そんな憧れの地で我々は生きていくのだ。逃げ道なんか無い。
餓えはしないが「希望」に渇く。戦死はしないが「自殺」の選択肢は常に用意されている。そんな世界で我々は生きていく。
本作で赤い大地を知った。ちょっとばかり「世界」を知ったつもりになる。だから、彼等が目指すべき社会はもうちょっとマシな社会にしておかなきゃならないんだとも感じた。
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