[コメント] めぐり逢う大地(2000/英=カナダ)
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一人の男の破滅の人生を描いた作品で、1クールのドラマをまとめて見ているぐらい、中身が濃く、全体的に大河ドラマのを観ているような印象。
基本的には昔、エレーナ(ナスターシャ・キンスキー)と娘のホープ(サラ・ポーリー)を砂金と交換して見捨て、巨万の富を築いたという罪の報いのために街にやって来たエレーナとホープに贖罪する主人公ダニエル・ディロン(ピーター・ミュラン)のエピソードが中心に描かれている。映画としては病気を患い余命少ないエレーナへの贖罪に尽力を尽くす彼の努力とは裏腹に、金鉱発掘で生計を立てていた街は大陸鉄道という時代に翻弄され、街の住民はどんどん新たな開拓地に去ってしまい、さらには娘のホープも鉄道技師のダルグリッシュ(ウェス・ベントレー)の元へ行ってしまい、自分のかけがえのなかったものを全て失ってしまったディロンが自暴自棄になり最後に壮絶な死を遂げるという対照的なストーリー展開はなかなかインパクトがあった。
ただ、この映画どう観てもディロンが主役なのだから、中盤までダルグリッシュを話の中心人物として描いたわけがどうにもわからない。キャラにしても彼の目的は最初はディロンが君臨する街に鉄道を引くことだったのだが、中盤からはディロンが君臨する街を支配し、街の指揮権まで握り、街の住民動かしたりするなど、前半に比べると悪人キャラになってしまうのがどうもしっくりこない。それとホープがディロンの娘であることを知らずに、ディロンがホープと浮気しているのではと疑うルチア(ミラ・ジョヴォヴィッチ)のエピソードも、もっとルチアのホープへの対抗心や嫉妬を煽る展開を描いて欲しかった。
この二人のキャラが実に中途半端なために、従来の大河ドラマにあるような人間同士の確執という要素が弱く、話が一転する中盤からの展開が実に薄っぺらくなってしまい、ラストでのディロンの死に対する感動要素がないのが残念。
出演者は結構豪華だが、役者の中では主人公ディロンを演じるピーター・ミュランよりもエレーナとホープの親子を演じたナスターシャ・キンスキーとサラ・ポーリーの演技が一番光っていた。ルチア役ミラ・ジョヴォヴィッチも歌は結構うまいし、ディロンの娼婦という役どころを魅力的に演じてはいたが、全体的には存在感が薄かった印象を受ける。
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