[コメント] 存在の耐えられない軽さ(1988/米)
ストーリーは一見冗長だけど、様々なテーマを詰め込んでいるため、全然飽きさせません。ラストのトマシュの一言にはじんっとさせられます。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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この作品はいくつもの見どころがある。
トマシュを中心に考えると、自分勝手に生きて女性を泣かせ続けてきた男が一人の女性によって本当の幸せを得る物語。テレーザを中心に考えると、人生というのが重すぎる彼女が愛した男が人生を軽く考えすぎていた。それで悩む女性像。ザビーナを中心に考えると、芸術家の生き方とはかくあるべし。強い女性を描いている。三者三様の物語が楽しめる。
他にもトマシュ×テレーザ、トマシュ×ザビーナ、ザビーナ×テレーザ(!)という組み合わせの、息詰まるようなエロティックなシーン。これは描き方が上手い。裸の女性が見上げる。これだけで充分すぎるほどの効果を挙げているのはビノシュ、オリン共々役者として本当に上手いことの証だろう。
そして、1968年8月に起こったチェコ・スロヴァキアへのソ連軍侵攻「プラハの春」事件。これが物語の転機となるのだが、ここでは戦車が実に効果的に用いられている。暗闇の中から転輪の音を響かせてやってくる戦車の勇姿。古風な町並みと人混みと戦車の対比。かくも美しき、力強き戦車よ(尤も、この作品では武力鎮圧をかなり否定的に描かれているので、力強さを見ようと思ったら、意識にフィルターをかける必要がある)。
ところでここで登場しているジュリエット・ビノシュとレナ・オリンだが、この二人は『ショコラ』でも競演している。全く立場は逆転しているが(笑)
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