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[コメント] 小さな恋のメロディ(1971/英)

正直、自分はアニセー・アルビナ派だった。
ナム太郎

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







本作とアニセー・アルビナ主演の『フレンズ』は、当時(昭和50年前後)のガキを虜にしていた2大青春映画であった。

本作にしても『フレンズ』にしても残念ながら公開時はまだまだ子どもで、初めて観たのは小学校の高学年のとき、それもテレビ放映でという出会いだった。しかも先に観たのは『フレンズ』。キスすらも知らないガキに「ポール、私を食べて!」なんてシーンは本当に刺激的で、当時の自分はアニセー・アルビナという名前を聞くだけで鼻血が出そうになったものだった。

前置きが長くなったが、本作はそんな洗礼ののちに接した作品だったので、トレイシー・ハイドは確かに可愛いと思ったし、当時の日本では考えられなかった短いスカートにもドキドキはしたものの、それ以上の特別な感慨を抱くことはなく、ただ純粋に「カワイイ映画」とだけの記憶とともに長い年月を過ごしてしまった。そしてその記憶は、大学の頃本作を再見した際にも感想が変わらなかったことで完全に固定。それどころか当時のトレイシー・ハイドに対しては「こうして大人になってから見てみると、もうすでに子どもの頃からオバサン顔だったよな」なんて暴言を一緒に観た友達に吐いていたようにすら思う。ファンの方々には失礼だが本当の話だ。

ところが完全なるオヤジ世代になった今「午前10時の映画祭」って企画で本当に久しぶりに観てみたら、これが案外面白くてビックリした。何が面白かったのかというと、昔は全く目に入らなかった体制、階層、権力、そして大人といったものを見つめる目線が意外とシビアだったところ。考えてみたら基本的には子どもの視点で作られているのだから当たり前のことなのだが、その切り取り方が結構鮮やかで大人目線でも気持ちいい。特にダニエルの母親をそれらの象徴として描き、その象徴の象徴たるご自慢のオープンカーが爆破されてしまうというクライマックスは、それを機に逃げ惑う教師たちの姿を見るまでもなくやはり痛快だったし、それを受けて最後2人がエンジンすらないけれども2人にとっては究極のオープンカーたるトロッコで「新婚旅行」へと旅立つところもちょっとした皮肉が効いているようで面白いと思った。

ただ、本当に申し訳ないけれどトレイシー・ハイドに対する感想はあまり変わらなかった。そのあたりはやはり今もアニセー・アルビナが少なからず影響を与えているのかもしれない。いや、きっとそうなのだろうと思う。

(評価:★4)

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