コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] 女囚さそり 第41雑居房(1972/日)

シリーズ第二作は、さそり=松島ナミ−梶芽衣子と6人の女囚たちの、脱獄と逃走のロードムービーだ。
ゑぎ

 前作(一作目)が回想とエピローグを除いて、ほゞ刑務所を舞台としたが、本作は、序盤以外は全て刑務所の外の世界を舞台とする。この背景の変化は、目先が変わって感じられ、良い措置だと思う。

 梶以外の6人の女囚は、白石加代子荒砂ゆき伊佐山ひろ子八並映子賀川雪絵石井くに子の6人。中でも白石の鬼気迫る怪演が本作の見どころの一つになっていて、目立つということでは、主演の梶以上に目立っているが、これは人によって好悪が分かれるだろう。しかし、勿論、梶の端正な美しさは本作においてもストロングポイントだと思う。

 また、前作と違って、これら主要キャストに目立ったヌードのシーンがない、というのもポイントだ。梶と石井にはレイプされるシーンもあるのに、2人とも胸を見せない。あるいは、この当時の伊佐山が、セクシー要員ではないというのは、どういうことだろうと思ってしまう。唯一、八並映子と賀川雪絵が女同士で絡む場面があり、八並の胸の露出があるけれど、人物の後景に映っているだけで分かりにくい見せ方なのだ。

 他にも、前作から意識的にルックを変化させているコダワリが散見される。例えば、懲罰作業の場所が、前作では砂の山だったが、本作では紺色の砂利の山になっていたりする。梶を含む7人がこの禿山を駈け下りるショットなんて、この世のモノとは思えない雰囲気が出ていて、良い画面になっているのだ。また、女囚7人で筏に乗って川を下るシーンにも良いショットがある。あと、演劇的な照明を駆使するイメージシーンは前作同様多いけれど、青や緑の照明を基調にしながら、赤で罪の意識を強調する演出の見せ方は、シンプルで分かりやすくなっていると感じた。

 ちょっと気になったのは、逃亡している中で、一人、荒砂ゆきだけが単独行動を取り、子供に会いに行く場面があるが、これはいくらなんでも取ってつけたようだと思わせられる。いやそれ以上に、刑務官の室田日出男らと荒砂の間に挟まれて、酷いやりとりに巻き込まれた子供(子役)のメンタルが心配になってしまった。それは、終盤の道路の場面でも同じだ。また、観光バスの乗客たち(会社の慰安旅行か)、小林稔侍らから石井くに子が襲われて輪姦される場面で、男たち一人一人に、滝のフォーカスアウトを挿入する演出(射精の隠喩だろう)は、ちょっとウザいと思った。さらに、本作のラスボスは渡辺文雄だが、終盤の梶との対決場面もクドイ演出だ。尚、エンディングの、女囚たちが東京の道路を走るイメージの連打は面白いと思う。

#備忘でその他の配役等を記述

・法務省の巡閲官役で戸浦六宏。失禁して女囚たちに裸にされる。

・刑務官として室田と共に、髭とサングラスの堀田真三が続投。他の刑務官では小松方正が目立つ。梶を輪姦するのは小松、佐藤京一三重街恒二阿藤海

・ゴーストタウンに姥捨のように一人いる老婆は田中筆子

(評価:★3)

投票

このコメントを気に入った人達 (0 人)投票はまだありません

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。