[コメント] ゆけゆけ二度目の処女(1969/日)
孤児の男女のリリカルは一旦宙吊りにされた後に実力行使で取り戻される。小桜ミミは若松ポルノ女優中破格の可愛さ。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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序盤に漂うのは同時代の寺山や羽仁進のようなリリカル。鉄筋アパートから出ないが主な舞台は屋上だから『胎児が密猟』などの応用編の趣がある。屋上の夜景美しく、目覚めて「朝」と呟くのがいい。「八月八日、朝」。海と屋上で二度輪姦されて始まるから、正確には「ゆけゆけ二度目の処女喪失」なんだろう。
このリリカルはカラーパートの『犯された白衣』引用の血まみれ描写で強引に破綻される。徒党組んだ輪姦連中やフリーセックス連中が否定され、♪ママ、ボク出かける ボクのオマワリを殺すために と秋山未知汚が孤独なブルース唄って殺しまくる、ヒッピー文化の愛と平和の対極路線。刺されたヒッピーが「お巡りさん」と叫ぶのは相当な皮肉だ。そして皆殺しが終わってはじめて映画はリリカルに戻る。血だらけの秋山と素っ裸の小桜がビルの屋上を一周するショットが素晴らしい。屋上から脱出するラストは人によって複数の解釈があるだろう。
『処女ゲバゲバ』とは特に関連なし。『止められるか、俺たちを』でのマント羽織ったタモト清嵐の造形は、この丸眼鏡の秋山なのだろう。映画はシンナー遊びが当時すでに流行っていたのを記録している。ラスト、このシンナー防止ポスターと並べられている家族の対話を訴える警察のポスターは、孤児のふたりには聞こえないのだった。
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