[コメント] 美しい夏キリシマ(2003/日)
「...そうかんがえたら、ちょっとだけうれしかね。」 自分ではどうしても埋めることの出来ない空洞を忘れたくて、しのんでくる(いや、白昼なんだが)兵隊(香川照之)を夢中で求めるイネ(石田えり)だった。人の心の虚ろを目の当たりにしたときにも、涙が出てしまうことを知った。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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天皇が神様になって、たかだか百年かそこらの話。これから、特攻に行こうとする海軍さんと、康夫(柄本佑)の会話の痛々しいこと。教育の恐ろしさをつくづくと思い知る。 兵隊がみんな香川照之みたいなのばかりだったら、戦争なんてできっこないのにね。
ひとつ思い出したことがある。石峰君の妹の「仇を討ってください。」 これは、竹槍で米兵を突き殺すことではないのだけれど。もう少し大きくなったら康夫はこの意味を分かるようになるのかなって、そんなこと考えながら観てたな、そういや。
そして、何か足りないと、ずっと考えていた。この違和感はなんなのだろうと。それは、戦争に反対している人がぜんぜん出てこないということだ。 厭戦兵士、自主防災訓練に参加もせず、情事にふける未亡人、身内をすべて戦争で亡くした石峰の妹、そして、憲兵に小突き回されながらもマイペースを保持する康夫等がいて、かろうじて、作者も戦争はいけないのと思っているんだなと分かる。 でも、思うに、キリシマの人たちって、こんなにおとなしくはないはずだ。
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