[コメント] 青い青い海(1935/露)
チャーミングな女性を争う二人の青年という構図は同監督の『箱帽子を持った少女』と同じ。ロシアっぽいクラシックな劇伴や歌も披露されるトーキーだが、字幕の説明や無音の心理描写(珠が飛び散る首飾り!)といったサイレント風演出が混在し不思議なリズムを醸す出す。
不凍海岸の少ないソ連で「青い青い海」ってどこのことだろう思っていたら、なんとカスピ海だったのには驚いた。しかも、嵐の海の描写は大海を思わせるほど凄まじい。その自然の過酷さはヒマラヤから砂漠を渡って吹きつける強風として作中でも語られる。で、流れ着いたのがアゼルバイジャンとは、なるほど。広いのか狭いのか、私の「海」の認識を超えるスケール感。で、働くのは漁民コルホーズということで、ようやく私の認識のピントが「ソ連邦」感覚に追い付き得心する。
最後には、さりげなくソ連の太平洋艦隊が称賛されて、のどかな労働礼賛ラブコメのなかにも1935年という大戦の戦間期の空気を感じるラブコメでした。
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