[コメント] 青い青い海(1935/露)
荒々しい波。海鳥。丸太に二人、漂流している。一人は背中にギターのような楽器をくくりつけている。舟に助けられる。場所はアゼルバイジャン。漂流者は二人とも横縞のボーダーシャツを着ている。名前はアリョーシャとユフス。
浜には女たち。その中の一人、マーシャ。舌を出し、唄い出す。海と太陽。なんてフォトジェニックな画面ばかりだろう。スクリーンプロセスの夕景との合成カットですら見事なのだ。当然ながら、三人は三角関係になる。二人の男が、何か柑橘類の果物を食べているところへ現れたマーシャもボーダーのシャツ姿になっている、というような演出などでも、三角関係が端的に示される。
アリョーシャが抜け駆けして町へ行き、ネックレスを買ってくる顛末。窓から見るユフス。マーシャの部屋の場面は、ほゞサイレントだ。ネックレスが切れて珠が落ちるのをスローモーションで見せるカット。アリョーシャからのトラックバック(ドリー後退移動)。といった具合で、技巧的に凝って見せる。あるいは、三人が乗った船が、荒波に翻弄される造型も凄い。フラハティの『アラン』ばりだ。終盤の住民全体を巻き込んだ祝祭描写も大したものだが、どう終わらせるのだろうと思っていると、思いの外あっけない帰結が待っていて、唖然としてしまった。しかし、この無邪気な帰結も良いと思う。
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