[コメント] 白い船(2002/日)
舞台になっているのは島根の小さな漁師町。大都会ではない。過疎とまではいかないまでも、若者がいない町であることは確かだ。その描写が最後まで活きている。
船に乗せてやりたいと思った大人たちは、漁師たちの町だったこの土地から、いずれ跡を継ぐ若い世代がいなくなるであろうことをしっかり予感している。しかも、それについて不平不満を言うでもなく、また子どもたちに「将来は漁師になれ」と強いるでもなく、淡々と構えているのだ。それがまた“滅びの美学”というか、静かにじんと響いてくる味わい深さを出している。
「船に乗せてやる」ということは、滅びゆく漁師町に育った子どもたちへ、大人たちが与える「通過儀礼」なのかも知れない。
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