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[コメント] コンタクト(1997/米)

哲学っていえるほどの哲学もなく、とくに新しい理論が展開されているわけでもない科学物語。ダイメンション(次元)なんか、もっと複雑に入り組んでいる気がするけれど…。安っぽさは「わかりやすさ」の代償。
カフカのすあま

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







言葉の限界。映画の中でも、「ああいう宇宙」を目の前にして「言葉を失った、詩人を送ればよかった」と主人公に言わせているように、絶対的ななにかを感じると人はそれをすぐに言葉にすることはできない。おそらく、なんらかの「概念」を一瞬にして悟るからなんだろう(立花隆の「宇宙からの帰還」という本には繰り返しそういう体験をした宇宙飛行士が出てくる)。その感覚を言葉で他人に伝えることは難しいのだろうけれども、映画なら、その神々しさとでもいうような「それ」の存在は表現できる。

オープニングのひとみの語りや、「18時間」は美しい仕上がり。

けれども、実在の人物(当時の大統領とかニュースキャスター)を交えた「プロジェクト」の語りにはゲンナリ。「現実らしく描く」ためには、あえて「現実的」なものを排することも必要なのでは?

それはさておき。

ラストは甘味を残すやりかたがナカナカと思った。あの男を選ぶ理由はみつからないけど、勝利することより、認められることのほうが重要、とでもいうのか ― そこに科学者の視線を感じた。証明はできないけれど「彼女が言うことが正しかったかもしれない」という可能性を残すやりかた。ちょっとホロリ。科学者である原作者への気配りかもしれないけれど。

(評価:★2)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)くたー[*]

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