[コメント] コンタクト(1997/米)
これはSF映画だ。しかし,Science Fictionではなく,Science Factである。パンフレットにはそう書いてあった。たしかにそう思う。どの辺がFactかと言えば,可能な限り「今ここでこの映画が現実realになったら?」ということを描いているから。その意味で,この映画はノンフィクションだと思う(いや,フィクションはフィクションだって)。突然に宇宙からの声をキャッチしたら。アメリカはどう動く?ロシアは?EUは?そして日本は?そういうところを実によく描いてくれたと思う(日本のディテールには苦笑したが)。世界はどう動くのか。そのシミュレーションを見た気がする。
また,そういう世界情勢だけではなく,科学的な調査チームの内部での確執もよく描いてくれたと思う。科学者は事実のみを取り扱い,公明正大な議論を行い,誰もが納得のいく結論を出す。そういう理想的な科学者像が実際には幻想であること,というか科学者という存在もまた人間であり,社会的な存在であることをよく描けていたと思う。こういう科学者の描き方はとってもいいと思う。
内容自体について。ネットで公開されている評を見てみると,「2001年宇宙の旅」をパクったというものが意外に多い。自分はそうは思わない。いや,もちろん,ディテールはそうなのかもしれない(とはいっても自分は2001年をあまりきちんと見ていないので何とも言えないのだけど・・・水平な宇宙とかそうなのかなあ。でもあれだけじゃなあ)。
でも,全体として伝わってくるatmosphereはなんか違う気がする。2001年は,冷たい。クール。というか,そういう感情を超越した宇宙それ自体の摂理を感じさせる映画だと思う。ある意味,超越的な存在としての神を感じさせるというか。2001年はそういう「神」の映画だったように思う(自分にはね)。
コンタクトは,そうではなくて,とってもwarmだったと思う。「人類」いや,「人間」,いやいや,「ひと」の映画だったと思っている。「結局人間も宇宙の中ではちっぽけよ」ってのか,「有限な人でも,無限へと足を踏み入れるための一歩を踏みしめていくことはできるんだよ」なのか。この差はでかいと思うんだけどな〜。どちらも神の存在については疑わないのだけど,それを前提としつつ「ひと」はなにができるのかを問うていく姿勢のようなものを,コンタクトに感じた。
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