[コメント] 宇宙戦争(1953/米)
例えば、主人公のフォレスター博士-ジーン・バリーとヒロインのシルヴィア-アン・ロビンソンが初めて会う場面。二人が歩きながら会話するツーショットの後退移動を見た時点で、あゝいい構図、と思ってしまうし、そのすぐ後の、隕石から見物人側を撮ったクレーン俯瞰の浮遊するような視点の感覚にもシビれるのだ。
あるいは、軍用車両(戦車やジープ)がやってくる場面の夜間撮影は屋外でのロケ撮影だが、これらのショットもよく撮れていると思う。そして終盤のLAの街での暴動シーン。この描写の迫力は大したものだ。こゝでは、バリーよりも先に出発していた(ロビンソンらが乗っていた)スクールバスが暴徒に襲われる場面を割愛してしまうところがいい。ヒロインの死活を見せないプロットの運びが良く考えられていると思う。二人が再会する教会内のモブシーンの、沢山の人をかき分けて再会する演出もいい。
ただし、バリーとロビンソンが農場の小屋に閉じ込められ、周りをウォーマシンに取り囲まれる場面も、なかなか怖い良い演出だと思うが、こゝで入手した物(触手の先のカメラ部分と星人の血液が付着したスカーフ)の扱いについては首を傾げる。何かの役に立つかと思わせるのに、ほったらかしになってしまう。それと、原爆投下のシーケンスでは、投下のための飛行機がB29のような爆撃機ではなく、全翼機(フライング・ウィング)なのがカッコいいし、投下後の爆風の表現なんかも悪くない造型だが、灰を浴びたバリーの顔も白くなっているのは可笑しい。また、山というか丘の上に沢山の見物人がいる俯瞰ショットは綺麗でした。あと、ヒロインのロビンソンは概ね美しく撮られていると思うのだが、彼女の絶叫演技の際の顔が良くないのだ。なんとも安っぽく感じられてしまう顔演技というか。
#備忘でその他の配役等を記述します。
・ナレーションはセドリック・ハードウィック。
・アン・ロビンソンの叔父さんで牧師のルイス・マーティン。二人が映画館の前にいる場面で『サムソンとデリラ』(1949)の看板がある。過去の映画というのは、SFとして奇異な感じ。
・序盤に出て来る保安官はウォルター・サンド(ガイガーカウンターの場面等)。最初に熱光線の犠牲になる3人の内、真ん中の男は、ジャック・クラスチェン。この人は、『アパートの鍵貸します』の配管工の役でオスカーノミニー。あとの2人は、向かって左の若い男がビル・フィップスで右はポール・バーチ。パトカーで逃げる若い警官はヘンリー・ブランドンだ。『捜索者』の酋長。
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