[コメント] 宇宙戦争(1953/米)
時代ゆえか共産主義の影が延々ちらつくのが興味深く、キリスト教右派の論理と倫理が貫徹される様は、アメリカ的発想のひとつの典型だろうというサンプル的価値が感じられる。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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被害報告は西側諸国ばかりから上がってくるし、科学偏重をキリスト教が覆す収束はキリスト教右派の論法に違いない。軍隊も原爆も地球を救わず、救ったのは神の摂理と細菌という展開。博士の「生物なら弱点があるはず」は神により達成されるのだった。
宇宙船のエメラルド色が美しい。当欄のコメントで破壊が痛快というものがとても多いのが意外だった。その視点、火星人の側についているんだ。勝ち馬に乗る心境なのか、米軍への恨みが遺伝しているのか。一瞬みえる宇宙人はジャミラみたいでこの出し惜しみはとてもいい。
間抜けな展開はいくらでも揚げ足の取れるもの。冒頭のショボい山火事は手抜きだし、没収したキャメラ使っての「火星人の視線だ」というモニター映写も中途半端さで不手際だ。マン将軍の「敵の攻撃は夜が明けてから」という予想は火星人相手に意味をなさないし、山中で包囲できているのに「攻撃は敵が谷を出てから」との指示は訳判らない。主人公は石原正純に似ていてまるで科学者らしくなくB級テイスト。
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