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[コメント] みんな〜やってるか!(1994/日)

いまだからわかる。これは大衆用の芸人は無理、限界と諦め、キワモノを進んでしまったために、若手実力派芸人に越されまくったボロ切れ北野の映画監督としての踏ん切りの補助。あるいは、自己分析ができている、洒落たあがき。
ジャイアント白田

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 笑えない。ひたすらに笑えない。顔に、自然な、いわゆる俗な笑いがうまれない。これは、この映画が、一般大衆相手の漫才師としては、役に立たないことを自覚した、北野武の敗北宣言であり、同時に、映画監督を本業とすると宣言した、出来たてホヤホヤのピッカピカに光った御影石で作られた記念碑(中身:芸人としての一生が終わったことに対する、墓)だからなのかもしれない。小綺麗に、かつ今の北野武に見える結果だけをみれば。

 肩書きを綺麗サッパリ清算し、画面にまとわりつく、効果音と化した軽い笑いに倦怠していたときに舞い込んできた映画への片道切符の輝きは、テレビ又はテレビリモコン以上に万能なものだったのだろうか。…とかそんなこと含めて、そのわりには、さよならを告げるには惜しい金づるテレビ業界に預金口座を残し、多くのレギラー番組に今日も出続ける、北野武を見続けたい。

たぶん、もう一回ぐらいこんなの作りそうだし、世の中に「俺は芸人だ」といいながら周りをすべらせる、言行不一致な人間の見本が必要だし。

(最後に言うのもなんだけど、おそらく単純に、鼻高々で調子のって自分の能力を過信していただけだと思う。漫才バブルをもう一度、と、夢見る懲りない芸人の自己憐憫は笑えなくて当然か。『Dolls』がコノ発展した形だと思うが、自分の今までの歴史から逃げていてて脱皮しかねているから、できればM−1グランプリに出場して、ぼろぼろになってしまう北野武主演のドキュメンタリー映画が見たい気分。)

2003/11/18

(評価:★4)

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