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[コメント] イノセンス(2004/日)

悟りきっているかのよう。
グラント・リー・バッファロー

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







なんで出る存在出る存在が、みな孔子の言葉や小難しい格言を知っているのか煙に巻かれながら観ていた。ただ、(とりわけ最近の)ゴダール作品を観るような感じで、彼らの吐く装飾過多な言葉よりも彼らの存在感や行動を追えばよいと気づいてからは、ある程度ストーリーについていくことができた。ネットの海に消えた素子を想いながら、一人取り残されたバトーの彷徨という筋書きには惹かれるものがあった。

とはいえ、核心的なテーマについては、他の方のレビューを拝見してようやくおぼろげにつかんだ。本作はずいぶんとラディカルな思想をその内に含んでいるようだ。ただ、地球が一旦滅びでもしない限り完全に原始に回帰することはできない以上、人間以外の「存在」を重視していくというのはヒューマニズムを敷衍した結果生じる新たな未来の思想とも言えるしれない。(その源泉はギリシャ思想やその他ネイティブの風習の内にあったものかもしれないが…)

難しいことはよくわからないが、ポスターにもあった、打ち捨てられた人形の首を単なる物としてだけで捉えない考え、乱暴に言うならその物独自の「いのち」を慮る考え、そういうことならなんとなく感覚的に伝わってくるような気がした。(ネットの海から生まれた「電脳」というものの存在を想像することができない私には、それ以上のこと(「イノセンス」の問題?)はよくわからなかった。)

*今年のカンヌにおいてタランティーノが本作にどのような評価を与えるのか、案外大穴で第二席のグランプリを取ったりして。

(評価:★3)

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