ヘリ型通信中継サイボーグが登場する冒頭のショットの美しさ、「助けて」の謎、前作『攻殻機動隊』のオープニングをなぞったガイノイド創造シーン。最初の１０分でノックアウトを食らわされた気分になった。

理解されることを拒むような難解な台詞の洪水。「ヒトと機械を分かつモノは何か？」「なぜヒトは生きているといえるのか？」答えようのない疑問。印象的で美しいカットの数々。

素子を思慕するバトーと、その思慕に応える術も、そもそもそういう意識すらなくしてしまったかもしれない素子の悲しいすれ違い。

物語中の事件は無事解決してエンディング曲が流れ、でも本当に解決させたいことは全てそのままで置き去りのままエンドロールも終わり映画館の明かりが灯いた。なにもかもモヤモヤとしたままだったが、でも、極上の料理を食った気になった。

残念ながら一般受けはしないのかもしれないが、私の中では21世紀最高傑作かもしれないと密かに思っている一品。