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[コメント] グッバイ、レーニン!(2003/独)

生きるってことは、大変なことなんですね。
chokobo

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







これは正に「浦島太郎に気を使う家族の物語」ですね。

浦島太郎とは、このドラマではママになります。

そして、ママがキズつかないように、冷戦時代の状況を維持するためにウソをつきとおすという、実に画期的なお話。

ウソを取り繕うことがどれほど凄まじいことになるか。

このお話の秀逸なところは、現実のドラマの中で、過去の社会主義にやむなく身を投じた女性が、8ヶ月という長い期間眠り続けて、そして現実に接する中で、家族の関係が微妙に変化するところでしょうか。

これはもしかしたら、気づかぬうちに、自分達にも起きていることなのかもしれませんよね。

だってバブル景気が崩壊して、その家族の環境も変わるでしょうし、リーマンショック後に日本の景気だって同じこと。そんな状況に気づかぬうち、自ら浦島太郎であることを自覚していない方も多いのではないでしょうか。

現実は厳しい。

でもその現実を乗り越えて全ての人は生きている。

8ヶ月も昏睡状態にあって元気に復活することなどないのかもしれませんが、このお話の中に出てくることの全てが現実であり、ファンタジーであり、そしてもしかしたら自分も同じ境遇に存在しているかもしれないという恐怖を感じました。

でも映画はとてもポップで、時にシビアに表現していますね。

ママを支えながらお互いが文句も言いながら頑張る若々しい俳優たちがとてもいいですね。

部屋の中の照明が赤くなったり青くなったり、その変化を具に眺めると、また面白さも倍増します。

最後のシークエンスで、宇宙飛行士がタクシーの運転手さんをしていらっしゃるシーンがありますね。

これもまた浦島太郎の現実なのかもしれませんね。

考えさせられる映画です。

秀作。

2010/01/07(自宅)

(評価:★4)

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