[コメント] ハレンチ学園(1970/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
赤褌している自由民権の闘志みたいな小松方正は『花の応援団』なら坂田金太郎の役処。彼や藤村俊二、うつみみどりは「ゲバゲバ90分」そのままのノリだった由。ともかく原作が面白いのだろう。探して読んでみよう。
やる気のない卒業式、生徒だけなら普通だが先生までやる気がないのが凄い。パイプ椅子並べて寝ている校長上田吉二郎。堅物の教育委員長は祝辞に母ちゃんとの夜を語る。 中盤、新任教師うつみみどりが揶揄われて授業から逃げ戻ると、教師連はみんな彼女を待っていて冷やかしている。つまり他の先生は誰も授業に行っていないのだ。なんという学校だろう。
職員室には旭日旗が掲げられ、由利徹は旭日旗の化物のようだ。丸傘丸男とはいったい何なのだろう。スカートめくりする藤村俊二の好色教師から女生徒たちを奪還すべく、男子生徒は70年らしくヘルメットと手ぬぐいで全共闘風のシュプレヒコール。なるほど本作は学園闘争の戯画なのだ。
修学旅行では教師は芸者遊び、一方生徒らは野球拳で盛り上がっている。真面目なうつみが酒呑んで暴れる件だけは残念ながら余り面白くない。用務員の左卜全はラジオから鳴る「やめてけれゲバゲバ」に合わせて口ずさみ、クライマックスの乱闘にもこの曲が流れる。適当な造成地が学園のグラウンドといういい加減さが邦画不毛の70年代を予言している。
家庭の事情篇では、生徒の主役雷門ケン坊の息子を殴る理由を探している肉屋の石井均がいい。妻を豚の頭数に含めて勘定するギャグが素晴らしい。養子のなべおさみをいたぶる封建的家長十朱幸雄も圧倒的だ。「この家を生きて出られると思うのか」。無茶苦茶可愛い児島みゆきの主演作だが名優が多過ぎるためかOPタイトルでは五番目ぐらいで出てくる。聖ハレンチ学園のシンボルの鐘が新東宝のOPみたいなのも如何わしい。
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (1 人) |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。