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[コメント] きょうのできごと(2003/日)

こういう青春は知らないけど、べっ、別に悔しくなんかないんだからねっ!
林田乃丞

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 いちいち鼻につくのはこの飲み会というのは柏原の大学院への進学及び転居祝いであって、あくまで主役はあの柏原であるはずで、友達の友達という立場で参加してる女ふたりだって、その場の雰囲気というか空気というか、とりあえずは趣旨に沿って柏原さんおめでとうございますという気持ちを見せろというか、少しは気を使えというか、こういう考えは男尊女卑でアナクロなのかもしれないけれど、おまえら女なんだから率先して空き瓶を片付けろというか、せめて自分の飲んだグラスや缶くらいは始末しろというか、風呂場の髪の毛の掃除すんのは誰だよというか、おまえそこまで色目つかうんならそこでそのオカマに押し倒されても文句言うなよというか、みんなで飲んでるときに彼氏彼女でベタベタすんなというか、もうおまえらホテル行けというか、その赤いインテグラはリアシートすげえ狭いけど5人も乗っかれんのかというか、ちきしょう何だかんだ言ってもおまえらカワイイ顔してんなというか、そんだけカワイイ顔してたらおいらだってエヘラエヘラしながら許しちゃうかもしれないなというか、とにかくこういう20代の怠惰で甘い日常をビタイチ知らずにおっさんになってしまった私としましては痛恨の極み、じゃなくて、何ら共感できる要素がなく、『a day on the planet』という洋題のそのプラネットというのはきっとどこか遠い星のお話なのだろうという、だけどなんだか羨ましいなぁカワイイ女のコがいっぱいいるそっちの星は、という、疎外感。が、ある。

 別に悔しくないと書いたのは本音だし、著しくリアリティを失した作品だとも思わないけれど、さも「これ普遍的です共感してください」というニュアンスを込められると、ちょっとしんどいですわ。彼ら大学生と社会とのつながりが一切描かれないから、「外側」の私は彼らの存在をどう捉えたらいいのか、よく分からんという感じ。

 ていうか群像劇って、それぞれに経済的社会的な立ち位置がまったく違う人間たちの人生が描かれてこそ「人の心」の在り方が浮き彫りになるわけだし、そこに発生する共通認識のダイナミズムみたいなものこそが群像劇の魅力だと思うんだけれど、この映画の大学生たちはみんな同じに見えちゃったんですよ。原作モノの映画にこういういちゃもんを付けるのは筋違いだとは思うけど、恋愛至上主義の大学生は別にカップル一組だけでいいからクジラの女子高生とかヤクザとか、そっちを掘り下げてくれよと思いました。

(評価:★3)

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