[コメント] カラマーゾフの兄弟(1969/露)
映画を見終った人むけのレビューです。
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まず二男のイワン。神の存在を否定する無神論、はたまた「神の摂理は認めるとしても、彼が作ったこの世界は認めない」という発言をする。私としても大いに共鳴。彼の今後を楽しみに観ていたが何という結末!受けた衝撃の大きさは分かるとしても無神論者がこういう形になって行くものか、と大いに疑問だ。
原作未読なので、その間の説明がされているかどうかは知らないが、脚本としては何か入れるべきだ。
一方、長男のミーチャは忌避している婚約者から預かった金を使い込むという放蕩者だが、いつの間にか運命を受け入れる素直な男になっており、その結末は、見方によっては彼が一番幸せになったといえる。世の中こんなものかなぁ?また、グルーシェンカの心の変化も急激すぎる。
そして三男アリョーシャ。一番神を信じていた彼が長老の死を境に、あっさり無神論者に変身。甘いストーリーだ。あっさりし過ぎていた。
と今フト思ったが、製作時は社会主義ソビエト連邦時代(1922〜1991)であり、当然“無神論主義”でないといけないので、製作者にそういう意識が働いていた、と考えられる。
原作未読なので、ドフトエフスキーがどう書いて、社会主義が本作にどう影を落としたかは分からない。が、ソビエト政府のロシア正教への過酷な弾圧は歴史的事実であり、原作そのままということはありえないと思う。
とすると脚本の舌足らずな説明不足も、社会主義に無理やり合わせようとした為かも知れない。
その説明不足を除けば、3部各々オープニングも風格があり、全体にはよくまとまった作品にはなっている。
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