[コメント] 真珠の耳飾りの少女(2003/英=ルクセンブルク)
情欲のこもった絵筆の描いたものと「名画」を規定する不幸。あるいは、女性週刊誌並みの覗き趣味。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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正直、観ていていい気持ちはしなかった。
人物画を描く画家なら、誰でもリビドーに裏打ちされた自分のためだけの絵画を描いたことがある(自分も漫画で経験している)。だが、ピカソのような性豪とおのれを名乗って憚らない画家ならともかく、ひとりの画家の手になる「名画」の裏にそういう後ろ暗い臭いを嗅ぎ取るのは、あまりいい趣味とは思えない。自分の道ならぬ情婦の姿を死後も永遠に遺したい、などと考える画家は少ないだろう。「名画」はただ美しい「名画」でいいではないか。
ありとあらゆるメディアで剽窃と皮肉の矢面に立たされた「モナリザ」を美しい、と認めるには強靭な意志が必要だ。この映画は、そういう絵画を一枚増やしただけのスキャンダラスで下衆な作品でしかない。そこに画家への敬意はひと掴みほどもない。
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