[コメント] スイミング・プール(2003/仏=英)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
深夜のアナログ13型非地デジテレビでなんとなしに観賞。
衝撃のラスト(それまでに気づくべきなのでしょうか笑?)
編集室でスルーされた女がジュリア?しかも、編集長の娘!? あれっ?ジュリアとジュリーて同じだよね??(ウォルトとウォーリーみたいに)。でも、あきらかにこっちの方が太いしブスだし笑…
最後に手を振る娘が美人とブスに交互に入れ替わって終わってしまうという、まさかの展開が押し付けられ、それでも 「いやいや、あのナイスな娘が実は存在してないなんて、ないない!」 と思い込みたかったが(大バカです)、皆さんの聡明なレビューをみるとそんな訳にはいかないですよね…
たしかに、ジュリアという娘は架空の人物だったのでしょう。
しかし、誰が生み出した人物なのでしょうか? やっぱりサラなのでしょうか?
また、私たちが観ていたこの映画のストーリーは、いったいなんだったのでしょうか? やっぱりサラの作り上げた妄想なのでしょうか?
ある意味では、そうだと思う。「まぼろし」での、夫が死んだ事を認めずに、妄想の中で自慰的に生きていくのと、そう変わらないとも考えられる。 妬み、欲求不満は確かにサラの内に存在している。
しかし全てはそれが作り上げた妄想だと言い切れるのでしょうか?
もう一度。
私たちが観ていたこの映画のストーリーは、いったいなんだったのでしょうか?
また、サラは何を書いていたのでしょうか? ジュリーは何を書き、サラが書き写した内容は何だったのでしょうか? ジュリーはサラの部屋で何の原稿を読んだのでしょうか? ジュリーの母親の原稿はどのようなものだったのでしょうか?
全て不明です(もちろん予測は出来ます)。
それでは、サラが書き上げたスイミングプールという小説は、南仏の別荘での私たちがそれまでスクリーンで見てきた彼女の妄想がベースとなっているといえるのでしょうか?
もしそうだとしたら、サラは深刻な病気であり、天才でもあると言わざるを得ません。
しかし、サラは妬みや欲求不満を抱えているとはいえ、それくらいは健全であり、美しい魅力的な女性にみえます(妄想内なんだから実際は…とも考えられますが、あえてそこは考慮しません)。
そもそも、書き上げたスイミングプールという本はどんな内容になったのでしょうか?
彼女はこの本で編集者を咎めたかったし、編集者が黙っていた事を責めます。 しかし、何を黙っていたと言うのでしょうか?
サラが妄想内の出来事を信じきってそれを責めているとでもいえるのでしょうか?
結局は不明なのです。
ここで、私たちはサラというミステリー作家の脳内を覘きこんでいたという訳ではなく、映画自体が最後に書き上げられるミステリー小説そのものだったとみなしてみたい。
とすると、その小説の内容が永遠に分かる事がないのがミステリーとなります。
しかも、その小説の作者はサラでも、ジュリーの母親でも、誰でもなく、この「映画」自身なのです。
そして、この映画は映画自体が生み出したフィクションと化します。
最後に仕掛けるちょっとしたトリックの効果が、今まで見てきて形成されたものを、解体して移動させ作り直さざるを得なくなる。
しかし、移動先も分からず再形成も出来ないというミステリー。
答えはどこにもない。
この映画は手に触れる事のできない、スクリーン内のミステリー小説なのだから。
よって、それは、こちらがどのように解釈しても自由だと言うことでもあります。
そして、見た人の数だけのトゥルーストーリーがスクリーンの裏に隠れているのです。
09/12/5
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