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[コメント] レディ・キラーズ(2004/米)

すっきりとして奇妙な味わいのオリジナルに対し、コーエン兄弟トム・ハンクスとのマニエリスム対決で「過剰さ」を競う。それは時として観客を置き去りにし、マニアを唸らせ、テンポを引き摺り、そしてコクはあるがキレの無い重厚なコメディとなった。さすがと言うべきか、自家中毒的と言うべきか。
ぐるぐる

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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しかし、その「過剰さ」が、この映画の全体的なバランスを崩していることを承知の上で、個々の素晴らしい演出、音楽、撮影、役者根性といった要素の総和に対しては、やはり★3つでは済ませられない気持ちになる。

新たに追加されたエピソードはコメディの要素が強いものがほとんどで、そこは脚本的にも演出的にも悪くない出来だと思う。ただ、その中で例外的に寓話的なエピローグは、マダムが警察署に行くシーンから始まり警察署から帰るシーンで終わるオリジナルの構成に対して、わざわざ付け加えた効果があるとは思えなかった。

また、ストーリーの進展に関係なく挿入される教会でのゴスペルのシーンは良い呼吸を作ってはいたけれど、最後の「寄付」というオチとの相乗効果でいかにも現代の米国的な「モラル」を変に意識させ、正直に言って倹しいおばあさんがお金持ちになっちゃうというオリジナルの話の方が面白い気がした。

(評価:★4)

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