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[コメント] ソニー(2002/米)

ハリー・ディーン・スタントンの存在感のある渋い演技は素晴らしい。
わっこ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







軍隊生活を終え、故郷に戻ってきた青年が自分を男娼として復帰させようとする母親と自立との間で苦しむ姿を描いた青春映画。

自分は本当は男娼世界から足を洗いたいと思っているのに男娼として生活をたてさせようとする母親との間で奔走する青年の苦悩と葛藤が等身大に描かれ、何とか男娼世界を抜け出そうとするが、普通の世界が男娼をしていた頃と変わらないということを知ったソニーの喪失感はなかなか泣かせる。

そして、将来の方向性もないまま男娼として仕事に明け暮れるソニーが仕事仲間であった娼婦キャロルの結婚や母の仕事仲間であったヘンリーの死をきっかけに自分の生活の中に突然空いてしまった空虚な世界からもがくように知り合いの同性愛男性の経営する娼館で仕事をする姿は学園青春映画の1シーンを観ているような印象を受けた。

純粋に青春映画としてみるなら感動的ではあるが、この映画今ひとつ感動できないのは、ソニーを束縛する母親からの自立をヘンリーが助言する感動的なシーンを作っておきながら、ソニーが結構簡単に故郷に戻ってしまうからである。

これが、故郷に再び戻るかで苦悩するソニーの姿を描いているのなら納得できるが、ソニーの自立したいと言う願望は映画を見ている限りでは男娼の世界が嫌になったと言うよりも、堅気の世界の方が楽だからという楽観的な見方で描かれているので今ひとつソニーの自立したいという願望が強く伝わってこない。

それと一つ気になるのは、ヘンリーの事故死シーンがヘンリーが賭けでぼろ儲けした帰りに狙われて殺されたと思わせるような演出が事前にされているのが何なのか気になる。下手に派手な演出を使用せずにもっとシンプルな方法を使ってもよかったのではと感じた。

役者としてはヘンリー役ハリー・ディーン・スタントンの存在感のある渋い演技が実にかっこいいし素晴らしい。特にソニーに自立への助言をするシーンの演技は感動的。ソニーの母親役ブレンダ・ブレッシンもダメな母親ぶりに磨きがかかり、普通に観てて好感を抱けなさそうな雰囲気を出しているところは上手いと思う。ソニー役ジェームズ・フランコも主役として演技は頑張っていたと思う。

(評価:★3)

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