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[コメント] みなさん、さようなら(2003/カナダ=仏)

安らかな父の顔、プライスレス。お金で買えない価値がある。
づん

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







…ってまさに某クレジットカード会社のCMのよう。

DVDでの鑑賞だったのですが、実は前半はかなり辛かった。見終わるまでに数日かかったくらい。父と息子の不仲から始まり、最後には打ち解けるんでしょっていう読める展開も辛かったし、お金で全ての事を解決しようとする息子のやり口も好きじゃなかったからです。

特別病棟。ドラッグ。ジャンキー。見舞い客。別荘。その他モロモロを息子はお金で買います。「金さえ持ってれば何でも出来る。」なんだこれ。バッカじゃないの!とまぁ始終イライラしっぱなし。中でも一番驚いたのが、お見舞いに来たかつての父の教え子たち。彼らまで買収の末にセッティングされたものだったのね!!と半ば呆れてしまいました。そこで唯一お金を受け取らなかった女生徒。それでも息子は淡々としていて女生徒の分のお金を男子生徒に分ける。彼の中ではあくまでビジネスなんですね。なぜ女生徒がお金を受け取らなかったのか、ちょっと考えてみてもいいんじゃないの?ってとても腹が立ちました。

そしてそれは後半に入っても何も変わらない。でもこれがだんだん訳が分からなくなってくるんです。ドラッグを手に入れるにはどうすればいいかなんて突拍子もない事を警察に聞きに行ってみたり、遊んでいる最中に起こったトラブルでも嫌な顔一つせず迅速に対応したり、ビジネスライクとは思えないような彼の行動一つ一つに違和感を感じ始めるのです。

何事もお金で解決する息子は、決して事務的ではないのだという事。お金で解決しているからと言ってそこには人間的な温かい感情が欠落しているのかと言われれば、そうではないという事。そういう事が前半で感じた辛さを訳の分からないものにしていったのです。携帯を炎の中に投げ入れられた時、事務的な男だったらそこで恐らくキレるんじゃないかなと思うんです。私はあのシーン、彼の次の行動にドキドキしました。…彼は苦く笑いました。この場面で私は彼の持つ人間のぬくもりを実感したのです。お金って汚くも使えるものだから、自分の中でそういう先入観があったのかも知れません。

そういう状況に置かれた事がないから分からないんですが、自分の親がもし余命いくばくもないと宣告されたら(いくら不仲であろうが)私も出来る限りの事はしたいと思うだろうし、それこそ他の誰かが置かれている状況(例えば病院の廊下まで溢れかえる他の患者さん達とか)なんて目に入らないくらい必死になると思います。そういう意味ではリアルな描写が多すぎたのかなと思いました。でも同じ安楽死を描いた『海を飛ぶ夢』よりも私はこちらの作品の方が好きです。

ただ…やっぱり映画だからだとは思いますが、少し度が過ぎるかなと思ったので★4にしました。

***

最後に。

ごめんなさい。私、知識不足で資本主義とか社会主義とか言う事はほとんど分かりませんでした。なのでちょっと的外れなレビューだったかも知れません。

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07.01.16 記

(評価:★4)

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