[コメント] スクール・オブ・ロック(2003/米=独)
リンクレイター監督作であるがゆえに決して「ロックな」映画とはならなかったが、そうであるがゆえの、人への優しさあふれる佳作。
自分ら世代には懐かしい「名曲」の数々には嬉しくなるが、この映画にロック魂が宿っていたかというと正直首を傾げてしまう。
まず思ったことは、監督のリチャード・リンクレイターは、決してロックの洗礼など受けていない輩なのではないかということだ。うまく表現できないが、物語をガンガン進めるよりも、人の心の機微を描くほうに長けている感がある彼の演出からは、もう少し繊細な音楽の影響を受けてきた香りがする。そのような意味からも、この映画は断じて「ロックな」映画ではないと思った。
しかし、だからといってこの映画が失敗作かというと、これも決してそうではない。むしろ1本の映画としては、多くの者が気楽に楽しめる、娯楽色あふれる佳作であると言ってよいと思う。
何より素晴らしいのは、主役のジャック・ブラックや子どもたちが、それぞれの役柄を心底楽しそうに演じているところである。もちろん役の大小はあるが、それでもそれぞれの役割を精一杯にこなそうとする姿は、それがフィクションであることがわかっていても(またストーリーの脈略が激しく破たんしていても)とても感動的であった。
このように、私はこの映画を、リンクレイター監督作であるがゆえに決して「ロックな」映画とはならなかったが、そうであるがゆえの、人への優しさあふれる佳作として観た。そして、だからこそこの映画が大好きになったのである。
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