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[コメント] 大いなる西部(1958/米)

歳をとってくると、だんだん、こういうドラマらしいドラマ、きっちりまとまったドラマがよくなってくるな。
ちわわ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







若い時は反発したのだろうけども。。

両家の争いが平和的に解決するという、いかにもヒューマンなストーリーながらも随所に長い映画を飽きずに見させる工夫が見事。

序盤では荒馬サンダーをジム・マッケイが手なずけいく描写がユーモアと緊張を生んで、中盤では、ジムと牧童頭のスティーヴ・リーチの対決、というより、グレゴリー・ペックvsチャールトン・ヘストンの二大スターの殴り合いという見せ場を置いて、 そして最後は、ルーファス・ヘネシー(バール・アイヴス)の人柄がクローズアップされてドラマに深みを与えていく。

高慢ちきな上流家庭のテリル家と、土着の人っぽいヘネシー家の対比。水源地であるビッグ・マディの奪い合いという設定も、国同士のいがみ合いを想起させてくれる。

パット(キャロル・ベイカー)とジュリー(ジーン・シモンズ)という女性まで対比させる。このあたりは対比の妙。もっともこの仕方はドラマティックな展開にはいいけど、人間像を典型化させてしまう問題もあるといえばあるのだが。

終わってみると、喧嘩の元となった両老人は死んだし、ルーファスのバカ息子のバックも死んだしで、必然的に平和だけが残るというスッキリした解決。 父親の影響が強すぎるパットだけは未解決だが、彼女は放っておいて問題はなさそう。

ジムはジュリーと結婚し、両家はもう争いはなく、水は平和に両家に配られ、 スティーヴ・リーチはおそらく、ジムの片腕として忠実に働いてくれるだろう。

という風に、今後の展開は必然的に導きだされるが、見る人がそれは思い浮かべてくれたらいいと、そこまで計算にいれた見事な終わり方。それ以外の展開は想像できんでしょ?

ここまで練られた娯楽ドラマは実はあまりなくなってきているのかもしれないな。

(評価:★4)

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